借金の消滅時効期間

 借金は、弁済期又は最後の返済から一定の期間が経過すると消滅時効が成立します。その期間は、貸主か借主のいずれかが商法上の商人であれば、商事債権(商法522条)として5年となり、貸主と借主のいずれも商人でない場合には一般的な債権として10年(民法167条)となります。

 具体的な債権の種類による時効期間の違いは、以下のとおりです。

➀サラ金・貸金業者が貸主である貸金

貸主が消費者金融などの貸金業者である場合、貸金業者が会社なのか個人なのかで時効期間は異なります。貸金業者が会社である場合の時効期間は5年、個人である場合の時効期間は、10年になります。
ただし、個人である貸金業者が貸主の場合であっても、商人の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。たとえば、個人事業主や会社が個人である貸金業者から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

②信用金庫が貸主である貸金

最高裁昭和63年10月18日判決において、「信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」と判示されており、信用金庫は、商人ではないとされています。したがって、信用金庫が貸主である貸金の時効期間は、10年になります。
ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、商人である会員の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。たとえば、個人事業主や会社が信用金庫から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

③銀行が貸主である貸金

銀行は会社であり商人ですから、銀行が貸主である貸金の時効期間は5年になります。

④住宅金融支援機構(住宅金融公庫)の住宅ローン

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、商人ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は、10年になります。

⑤保証協会の求償権

保証協会が主債務者に代わって債務の弁済をした場合、主債務者に対して求償権を取得することになります。そして、求償債権の消滅時効は、保証協会が代位弁済をした時点から進行します。
保証協会は商人ではありません(最高裁昭和60年2月12日判決)ので、保証協会の求償権の時効期間は、通常の債権の時間と同様に10年となります。ただし、保証協会が、商人である主債務者の委託に基づいて保証したときは、求償権は商事債権となり(最高裁昭42年10月6日判決)、時効期間は5年となります。
たとえば、保証協会が、個人事業主や会社の委託に基づいて保証したときは、求償権の時効期間は5年です。

判決が確定した場合の時効期間の伸長について

債権者が債務の弁済を求める訴訟を提起したときは、その時点で消滅時効が中断します。
 そして、判決が確定して訴訟が終了したときから、再度時効が進行を始めますが、民法174条の2に「確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。」と規定されていますので、時効期間は5年である債務についても、判決が確定してから10年が経過しないと、消滅時効は成立しないということになります。
 なお、民事再生の認可・不認可決定についても、確定した再生債権については、再生債権者表の記載は確定債権と同一の効力があり、時効期間が10年に延長されるという規定(民事再生法180条2項)がありますが、個人再生手続の場合には、この規定が適用除外となっており(民事再生法238条)、元々5年の時効期間の債権については、時効期間が10年に延長されることはなく、5年のままとなります。